桜プリント社

人物トライアングル

ランプの宿主宰 佐伯清美氏
第15回 2013.07.10
失恋が開いた人生の扉
ランプの宿
主宰 佐伯清美氏
本日は、山口市小郡郊外の里山に、昔の暮らし体験型の、宿泊もできる施設「ランプの宿」を主宰する佐伯清美さんに、その激動の半生をお聞きしました。
弟の命と歩む人生
 僕は岩国市美和町に3代続く左官職人の第4子として昭和4年、生を受けました。
弟が一人いたのですが、7歳(弟が5歳)の時に赤痢で亡くなりました。一つの瓜を二つに分けて僕も食べたのですが、弟だけが病に倒れたのです。この時から僕はその弟と二人三脚で生き続けています。
失恋と上京
 10代後半に大失恋をしました。その時の純粋な思いを伝える手段は映画しかない、映画にして多くの人々に観てもらうしかないと、日本大学芸術学部に進学し、脚本の勉強をしました。同期には映画監督となった深作欣二がいました。映画製作には携わりましたが、僕の失恋の脚本は映画にならず、僕はこの世界を諦めました。
 その後、印刷出版会社を創業しましたが、40代に事業に失敗し3000万円の負債を抱えましたが、経済の高度成長期とともに、がむしゃらに働かせていただきました。50代に入って、負債を清算した僕は、季刊誌「ふるさと紀行」を発刊し、84歳になる現在まで継続発行しています。
里山で紡ぐ人々の縁
 過疎の進む中、荒れて行く里山をこのまま放っておくには行かないと、65歳の時、僕は第2のふるさと山口市に戻り、四季折々の豊かな里山で、植物や生き物たちと触れ合い、多くの人達と楽しい時間が過ごせるよう「ランプの宿」を作りました。ここには、自然を求める人を初め、冒険心と好奇心に満ちた少年、少女たちが、数多く訪ねて来るようになりました。
【連絡先】
清流自然村 桜梅の里 弥生の里
ヒュッテ 桂谷 ランプの宿
三世代交流 いろり庵 弥生の館 桂亭
季刊 ふるさと紀行編集部
〒754-0001 山口市小郡上郷2873桂谷
TEL:083-972-8848(ランプの宿)、083-976-0180(編集室)
FAX:083-976-0181(共通)

※里山体験
薪割り、かまどでのご飯炊き、五右衛門風呂など昔の暮らしを体験できる。
童の森には、ブランコなど大小20の素朴な遊具があり、大人も子どもも楽しめる。
宿泊も可。
裏手には約1時間で登れるさくら15,000本の植林された美しい禅定寺山がある。
・・・・・インタビューを終えて
佐伯さんの主としてさくらを植える活動は国内にとどまらず、遠く、ネパール、中国にも及びます。それは、ご両親が信頼されて何も言わずに育ててくれた好奇心と冒険心が彼の心身のなかで燃え続けているからだそうです。多くを語っていただいた彼の瞳は亡き弟さんと共に、未来を見つめて夢と希望に輝いていました。さらなる健康と生きがい、生涯現役の老春の充実を期待いたします。